空しい、無念、無能

 空しい、虚しい、無念など「muna」行音が入っている言葉は「悪い」状態を表しています。 「悪い状態」
を表す「muna=ムナ」行音への当て字として使われている漢字は沢山あります。相手に「悪い」感情を抱い
ているとどんな素晴らしい事でも「悪く」取ります。悪く解釈します。その人がする事は「muna=胸」糞が
悪いと表現します。悪い状態を三つも並べて表現しています。すなわち、「muna=胸=糞=悪い物」です。
楽しい事は喜んでします。「面白くない、嫌な」事は出来るだけしないようにします。そのような「気が
思い」事は、どうしてもせざるを得ない時だけします。「ya-muni=止むに」止まない時だけします。悪い
態度はブツブツ文句を言う事でしょう。お喋りも「悪い」と考えられています。ブツブツ文句を言う のは
名護方言では「munu'=ムヌー」ユムンと言います。嫌な事、避けたい事は「忌む」と言います。「mono=
物」忌みは「mono=物=忌み=悪い状態、避けたい状態」ですので同じ意味の二種類の言葉を並べて意味
を強調した言葉になっています。「悪者」も「悪い」状態を表す二種類の言葉を並べた言葉になっています。
「悪=munu=mono=者」です。悪者は「walu+munu=walumono=悪者」 です。 物を「割る」と壊れます。
お椀や茶碗が割れたら困るでしょう。 「walu=悪=割る」も[悪い、困る」状態を表す音への当て字と考え
られます。「munu=ムヌ」など「muna」行音が「悪い」状態を表す事が分ると、竹富方言の「ムヌアイ」の
意味も直ぐに理解出来ます。母親が妊娠している時に火事などを見て「とても驚いた結果、その心の衝撃が
胎児に痣となって現れる状態」が「munu=物=者=悪=ムヌ」「アイ=会い=遭い」です。嵐など「悪い目
に遭う」のを遭遇すると言います。 ムヌアイは「悪者=悪霊」に「遭った」為に出来た竹富のと人たちは
考えて来た事が分ります。 「悪い」状態を「是正」したい時には「muna=ムナ」や「luna」を語尾につけ
ます。力を入れすぎると「良い」動きが出来ないのは野球やゴルフなどのスポーツをした事がある人は知って
います。そういう時には力「むな=muna」と言います。「怖い」状態は「悪い」状態と考えて良いでしょう。
怖がる必要はないと言いたい時には怖が「るな=luna」と言います。 怖がるなと「怯むな=hilumuna」は
類義語です。「lam-bo'-munu=lan-bo'-mono=乱暴者」は「悪い」事をする暴れ者です。無愛想な人は名護
方言では「bo'=棒」「切らー=キラー=killer=chiller=チラー」、棒切れな奴と言います。首里方言で
はボーチラーです。「lam-bo'-munu=乱暴者」は「lammunu」の間に「bo'=棒」を入れた言葉になっています。
乱暴者も「同じ意味の二種類の言葉を並べて」「悪い」状態を強調しているのが分ります。即ち「lammunu=
bo'=棒=棒切れのような者=棒キラー=ボウチラー」です。 「悪い」事をしてはいけないと人に「注意や
命令」をする時にも「luna=るな」を語尾につけます。人の物を取「るな=luna」と言います。物は「古」く
なると品質が「落ち」ます。「悪く」なります。人間も頭が「おかしくなる」と「kulu=狂」うと言います。
「頭がおかしい」人や「行動がおかしい」人は名護方言では「puli=プリ」ムンと言いですが、首里方言では
「huli=フリ」ムン、または「huler=フラー」です。「bula bula=ブラブラ」歩き回っている人がフラー
かもしれません。Nihon=Nippon=日本」は北京音では「Riben」です。「n←r」と「h=p←b」の変化が分り
ます。「munu」が「mulu=muru」に変ります。 次は「mula」行音と「muda」行音で「悪い」状態を表す言葉
を見る事にします。


 アッカド語とスメル語は次の通りです。

lammunu = とても悪い、アッカド語、英語では very bad

 lumnu = 悪い、アッカド語、英語では bad

lemnu = 悪い、lumnu と同じ、アッカド語、英語では bad

HUL = 悪い、スメル語、アッカド語の lemnu と同じ、英語では bad