ドゥーグルハンとヂークーイン: 気の毒で何も言えない状態と文句を付ける

   知り合いが「声も掛けられない」ほどに酷く困っていている状態の時には名護方言では
「du'gu=ドゥーグ」ル・ハンと言います。そう感じる時には殆ど「声を掛けない」でしょう。
昔の腕白小僧は友達の言う事は聞き入れたようです。悪い仲間が数人で一人の若者を虐め
ている時に集団の中の一人が「やり過ぎだ」この程度にしておこう、と呼びかけたら、その
時点で弱い者虐めは止めたようです。「やり過ぎだと言う」のを名護方言では「dugu=duku=
ドゥク=毒」ドーと「言い」ます。ちょっとした事で直ぐに他人に「言いがかりを付ける、文句
を言う」人がいます。 そういう態度は「di'=ヂー」「クーイン=食う=噛み付く」と言います。
人の言った事を書き留めた模様、物が「di=ヂ=字」で、「字」をたくさん集めて「書物にした」
のが「di=辞」書です。漢字の音読みで出来た二字熟語でも「di」の音は「喋り言葉、口語」
を表します。人に質問されたり名前を呼ばれたら返「事=di」をします。皆の前で「喋る」のが
答辞や祝辞の「di=辞」です。漢字の当て字には「事、辞」がありますが、意味は「言う、発言
する、喋る」事です。英語では「dictionary=辞書、辞典」です。人が「言った」事を書き留め
る動作は「dictation=聞き書き、聞き取り、書き取り」です。 沖縄方言、共通語、漢字、英語
の「di」は全てシュメール語由来の言葉だと分ります。私が小学生の頃は先生に何かを聞かれ
たら「ハイ」そうですと答えるのが普通でした。 「e'=えー」という返事の仕方を知っていても
使う人は女の子でも殆どいませんでした。 小学6年の時に沖縄全域の作文コンクールで一番
になった女の子が同じクラスにいて、その一等賞は東京旅行だったそうです。夏休みが終って
先生に東京の感想を聞かれて頻りに「e=えー」を使うのでクラスの男の子にからかわれていた
のを思い出します。今の学校の先生の中には生徒の「言った」事が聞き取れないと「e'=えー」
今「なんと言った」と聞き返す人もいるでしょう。「話」が下手な人は次の「言葉」が見つから
ないと「e'=エー」とエーとを繰り返します。エーとエーとも一種の言葉、発言とみなしていた
ようです。


 シュメール語では次の通りです。


  DI = 辞を述べる、 話す、言う、英語では speak

  DUG = 話す、speak, say. talk

  E = 話す、英語では speak