カヌーの語源: 田舎に居る、遠くからでも必ず来る、お金は外で使う物

  滅多にない事ですが、かなり前に買った本を読む事があります。茂在寅男著「日本語
大漂流」の「カヌーの語源と日本人の舟」の章を読み感じた事を述べます。古事記に載っ
ている「kano=枯野」は「舟」の事で「canoe=カヌー」の語源が「枯野」ではないかと述べ
ています。全く同感ですが、補足したいと思います。舟は「陸の外=外洋」に出る時に
使う場合が多いです。「kana」行音には「舟」の意味の他に「ある範囲の外側」の意味が
あります。「陸の外側=海」へ「出て行く」時に乗るのが「舟」です。「陸の外に出て行
く物=舟=kanu」など「kana」行音と考えられます。町には大勢の人が住んでいますが、
「ina-kani=田舎に」は僅かの人しか住んでいません。「田舎」は町の「外側」にあります。
「田舎に居る」という事は「遠く離れた所に居る」のと同じです。近くにいるとその気に
なればいつでも来れますので、近くに居る人が来る時には「kana=必」ラズ来るという
表現は適切ではないかも知れません。 昔は遠くに居る、田舎にいると町に「出て来る」
のは大変だったと想像出来ます。そういう遠い所からでも「kana=必」ラズ来るというのは
「kana=かな」り、大変な事だったと思われます。「普通の状態を越えた」状態や態度です。
お「金=kane」はお家の中では使いません。お金を使うのはお家の「外」です。体の
「外側を」ぐるりと「巻かれて」動けない状態を「kana=金」縛りと言います。「kana」行音
は「陸の外、範囲の外、常識の範囲外」などを表します。 歳を取ってからあの人は
「耄碌」している、常識的な事が出来ずに粗相をするなど「箍が外れている」状態になる
と名護方言では「kani=カニ」パンディ・トゥンと言います。普通の人は常識で「金縛り」
になっているのかもしれません。その「kani=kane=kana=金」が外れている状態です。
「舟」で「外洋に出る」状態を「kana」行音で表すのは理に適った表現だと思われます。

 アッカド語では次の通りです。

 qanni = 〜の次、〜の側、〜の隣、英語では next to

 ina qanni = 外側、英語では outside

ina qanni Tokyo = 東京の郊外、英語では outside of Tokyo

ana qanni = 外に向かって、外側、英語では to outside, toward outside, outward