木を裂く、薪を割る、撒き散らす

 木の音の変化は言葉を比較研究する時に大いに役立ちます。木々と言いますので
「ka」行音が「ga」行音に変化するのが分ります。木を裂く、丸太を「saku=割く」
と言います。「sagu=saku=割く」と考えられます。木を割くと「薪」ができます。
割かれた部分は周囲に「飛び散り」ます。この現象は水を「撒く」、「撒き」散らす、
撒き水と同じ現象です。「薪」と「撒き」は同じ現象、即ち「方々に散らばる」現象
なので、同じ音で表されるのは当然でしょう。日本語の「割く」など「saka」行音は
英語の「scatte=撒き散らす」と同じ語源の言葉から派生した言葉かもしれません。
丸太を鉈や斧で「割く」時の腕の動き、振り下し方を見ると「殴る=beat」のと同じ
です。人を殺す時の剣の振り方とも似ています。 人間は剣で切られたら血が方々に
「飛び散る」でしょう。一つの物を「方々に散らす」やり方には「bunpai=分配」が
あります。「pai」などの「pa」行音も「分散する」状態を表すかもしれません。 英語
では「part=分ける、別れている」、「disperse=散らばる」などがあります。嫌な相手
を「やっつけた」時には溜飲を「sage=下げ」るでしょう。 「憂さ晴らし」で気分を
「紛らす」のも溜飲を「下げる」一つの方法でしょう。

 スメル語では次の通りです。

 SAG = 離れ離れにする、撒き散らす、殺す、やっつける
英語では scatter, disperse, kill, beat