ウケーメーとアチビー: 風邪をひくなど病気に罹った時に食べられる物

 私が子供の頃はご飯よりも芋を沢山食べたと言う人がかなりいます。美味しい「シマグミー=
島米=島産米」を食べたのは風邪をひいて「at,ibi'=アチビー」を食べた時だけと言う人もいる
かもしれません。お粥の名護方言はウケー「メー=me'」です。ウケー・メーは「ウケ=食べ物」、
「メー=米」と考えられていますが、もう一つの意味もあります。私はもう一つの意味が本来
のウケメーの意味だと思っています。すなわち「ウケ=食べ物」「メー=me'=水」です。「水分
の多い」食べ物が「ウケ・メー=お粥」です。普通の「お粥」よりも少し「水分が少ない」種類、
やや「硬め=kata-me」で料理した一種のお粥が「アチビー」です。このアチビーは強い、偉いの
「t,u'ba'=チューバー」や頑張れよの「t,iba=チバ」リヨーと同じ語源から派生した言葉と考え
られます。即ち「良い状態、良い状態になるように努力する」などの意味があると推測出来ます。
病気から早く「回復」して貰いたい、「良くなって欲しい」時にあげるのが「a-t,ibi'=アチビー」
です。「回復させる、治癒する」のを英語では「heal」と言います。英語のgood をアッカド語辞典
に入力すると「t,a'bu」が出てきます。シカゴ大学発行のThe Assyrian DictionaryのT,の巻を見ると
「t,ubbu=t,ibi=heal=癒す=治癒する」が出て来ます。 ここでは「t,aba」行音を主に取り上げ
ましたので最後にご飯の炊き方の「kata-me=硬め」の別の見方を披露します。 片隅の「kata」は
「方、隅、端、外れ、下の方」です。 「片隅の」人は配分される量が一番「少ない」でしょう。「硬め」
は「kata=少ない」「me=水」と解釈すると「水分の割合が少ない炊き方=硬め」になります。

 アッカド語とシュメール語は次の通りです。

 t,ubbu = 良い、癒す、直す、治療する、良くする、アッカド語
        英語では good, to heal, to make healthy, to improve

u-t,i-ib = 幸せにした、英語では made happy

 A     = 水、シュメール語、アッカド語の mu と同じ、英語では water

me = 水、アッカド語、英語では water

 mame' = 水、アッカド語、英語では water, waters

mu = 水、アッカド語、英語では water


 注1: 私は「Sumerian」の「Sumer」ををどうして「シュメール」と発音できるか
     不思議に思っていましたので、英語の発音に近い「スメル」を使っていま
     したが、アッカド人は「Sumerian」を「shume'ru」と呼んでいたのが分り
     ました。今後は今までの学者が使っていた通り「シュメール」と表記します。

 注2: シカゴ大学では Assyrian Dictionary としていましたが、研究が進むにつれて
     アッシリア語はアッカド語の一つの方言に過ぎない事が分っています。現在では
     Akkadian Dictioanryと呼んでいます。  この辞典の完訳は去年終ったと去年の
     6月に発表されています。