キームム、毛桃の実、小話の面白さ




 毛桃は沖縄方言ではキームムです。「毛桃=kemomo」は「獣=毛物=kemono」、
特に蝙蝠が好きな果物だそうです。 子供は風の子と言われるようにコウモリは
「森の子、森子」と音が似ています。「森子=モリコ」をひっくり返してみたら
「小森=子森=komoli=コモリ」になります。コウモリは頭を下にして木にぶら
下がますので「モリコ→コウモリ」は面白い名前だと思います。ケモモとケモノ
も面白い組み合せだと思いますが、蝙蝠にはもう一つ面白い音が含まれています。
蝙蝠は虫ではなくて哺乳類ですが「羽」に似た物があり空中を飛べます。羽は羽
ばたく時には「大きく広がり」ます。大きく広げたら羽の向こう側は見えません。
蝙蝠の羽に似た物は「一篇=ippen」の、「一幅=ippuku」の掛軸に似ています。
蝙蝠の虫を取り除いた音は「penpuku→penpu」です。 お家の中が「見えない」
ように、お家の前、入口、門の直ぐ後に建てた石垣のような物が沖縄にはあり
ます。それは名護方言では「pinpun=ピンプン」シーと言います。篇幅石の当て
字がピッタリのようです。 ひょっとしたら名護の市街地への入口にある大きな
「ピンプンシー」ガジュマルには夜になると蝙蝠がぶら下がっていたかもしれま
せん。毛桃、キームムとピンプンシーの話はこれで終ります。