傍迷惑と泣かされる: 害を与えると受ける(受身形)

 傍迷惑も同じ意味の二種類の言葉を並べてその意味を強調する場合がある日本語
の法則に照らすと「傍=hata=迷惑=害を与える」になります。「hata」行音は「迷惑、
害を与える」などを表すようです。「とても困った時」には名護方言では「hata hata'
=ハタ・ハター」スンと言います。その状態は「忙し過ぎて」「pata pata=パタパタ」
している状態に似ていると言えるでしょう。「ha」行音は「pa」行音に変る場合が多い
です。「hat,a=ハチャ」メチャは「とても酷い」状態です。「被害を受けた」状態と状況が
似ています。英語の「thank」の「tha=サ」の音は「ta=タ」の音や「da=ダ」の音に変る
場合があります。「hat,a=ハチャ」の音も「hasa=ハサ」の音に変ります。「hasami=
挟み」で「ちょん切られたら」「被害を受け」ます。働いている会社が「hasan=破産」
したら従業員はとても酷い「被害を受ける」でしょう。思わぬ事が起りそれが「良くない」
時には名護方言では「hassa=ハッサ」ミ・ヨーと言います。会いたくない人に偶然思わぬ
場所で会うと「hati=鉢」合わせと言います。これも「一種の被害」「被害妄想」かもしれ
ません。戦争やスポーツでは相手も「戦い」ます。戦いは「katu=勝つ」か負けるかです。
勝ったと分った時が試合が終わった時です。勝者は喜びますが、負けた方は「苦しむ」のが
普通です。「勝者の喜び=勝つ=katu=敗者の苦しみ=被害を受ける=やられた=ya-lale-ta」
です。「yatta=やった=勝った」の受身が「ya-lale-ta=やられた=負けた=被害を受け
た」になっているのが分ります。自分が相手に働きかける、相手を攻撃する場合と相手が
自分に働きかける、自分を攻撃する、即ち自分が攻撃「される」場合があります。その受身形
の言葉「される」の名護方言がスメル語と似ている場合があります。「salelu=される」の
名護方言は「sa'lin=サーリン」です。「される」の古語は「らる=lal」、「られる=
lale-ru」です。多くの場合「l」行音は脱落しますが、「lal=らる」行音の場合は語頭の
「l」は脱落して語尾の「l」はそのまま生かされているのが分ります。 「される」や
「サーリン」は「ス=su=s=為す」と「lel」は「する」を表す「sa」行音と「害を受ける
=受身」を表す「lal」行音を並べた言葉になっているのが分ります。とても「苦しい」時
には「hitan=悲嘆」にくれると言います。それも一種の「hide=ヒデー=酷い=hido-i」
仕打ちを受けた時でしょう。「hitu'=悲痛」の叫びを上げる時です。「kutu'=苦痛」を
感じる時です。「h=k」の変化は良く見られます。

 アッカド語、ヘブル語、ウガリト語、スメル語は次の通りです。


 hatu    = 害を与える、相手に悪い事をする、悪い事をするよう仕向ける、
         無視する、アッカド語
         英語では to harm, to do wrong towards, to lead to wrongdoing,
to neglect
 ha't,a' = 害を与える、相手に悪い事をする、悪い事をするよう仕向ける、
         無視する、ヘブル語、アッカド語の hatu と同じ、
         英語では to harm, to do wrong towards, to lead to wrongdoing,
to neglect
 ht', = 害を与える、相手に悪い事をする、悪い事をするよう仕向ける、
         無視する、ウガリト語、アッカド語の hatu と同じ、
         英語では to harm, to do wrong towards, to lead to wrongdoing,
to neglect


 LAL = 害を与える、スメル語、アッカド語の hatu と同じ
         英語では to harm, to do wrong towards, to lead to wrongdoing,
to neglect