金釘流、金縛りとカナサ・スン: 曲りくねった状態、身動きできない状態と愛おしくて抱き締める

  お金の「kane=金」は金物の「kana=金」です。「kane」が「kana」と変化するのが分ります。
司会の司から一と口を除いた形、L の字をひっくり返した形、大工が使う番匠「矩=gane」の形は
「gane=kane」と読みます。その形の下に漢字を入れると「カネ」+「漢字の訓読み又は音読み」
なります。優秀の秀を入れると「カネヒデ=金秀」と読みます。直角に曲がるか、丸く曲がるかに
関わらず「グルッ」と「曲っている」状態、「グルっと取り囲んでいる」状態を表す音が「kana」や
「kane」です。この形を二つ組み合せると「四角」になります。「グルッと囲んだ形」になります。
前に述べた「金釘」流だけではありません。真っ直ぐ行けるなら近い所でも、大きな山や湖があり、
「グルッ」と「回ってしか行けない」ならば、そこは「kana-ri=かなり」遠くなります。蛇は弱い
物、獲物を「巻き絞め」て殺すそうです。人間は個人でも集団でも「周囲を取り囲まれたら」「身
動き出来ません」。敵に「屈服して言いなりになる」でしょう。別の言葉では強い敵には「kana=敵」
わないと言います。 敵わないを「kana'n=カナーン」と言う地域が沖縄にはあります。グルッと
「取り囲む」のは敵だけではありません。仲が良ければ「抱きしめ」ます。腕を「グルッと回して」
相手を「抱き抱え、抱き締め」ます。そのような状態も「kana」行音で表します。 子供をいつも
「抱きしめ可愛いがる」様子を沖縄方言では「kanasa=カナサ」スンと言います。抱き締められて
「苦しい」状態を表す言葉もあります。悪い夢を見ている「kanasi-bari=金縛り」にされる場合が
あります。体を「グルッと何かに巻かれた」状態、動けない状態です。「hanashi=話」によっては
「受け入れて良い」という事は相手に条件次第では「相手の言いなりになって良いと言う」事です
ので、ある種の「譲歩、降伏」と見なして良さそうです。誰でも敵に「降伏する」のは「kanashi'=
悲しい」でしょう。

 アッカド語では次の通りです。

 kanaku = 円筒形の周囲を巻く物、シリンダーのシール

        英語では cylinder-seal

kunukku = 円筒形の周囲を巻く物、シリンダーのシール、

        英語では cylinder seal

kana'nu = 完全に巻く、巻き上げる、完全に包む

        英語では to roll up, to wrap up, to curl up

 kana'shu = 頭を下げる、降伏する、
        英語ではto bow down, to submit(enemy), to submit oneself

 hana'shu = kana'shu と同じ。