田んぼ、チビ、チビ・ヌ・ナガ・ハヌ、チンブク

 田んぼとチビは音が似ています。二つの言葉に共通している状態を捉えるとその音の
意味が明らかになるでしょう。 田を「田んぼ」と言うのは理由があるでしょう。その
理由を探してみましょう。畑と「田んぼ=tanbo=tambo」を比較すると、畑では足は
地表にありますが、田んぼでは足は「地下にめり込み」ます。地下にめり込んだ分だけ
身長が「低く」なったように見えます。「tibi=チビ」は沢山の人が集まった所では大衆
の中に埋没して見難くなります。探し難くなります。沢山の人が集まる所では「小さい」
子供が「迷子」になるのは良くある事です。「埋没、見えなくなる、見難くなる」現象
だけを見ると「沈没=tinbotu=timbotu」と良く似ています。「足を怪我した」人や足の
骨を折った人の中には身長が「低く」なる人もいます。「timba=tinba=チンバ」と言わ
れます。さびしいとさみしいは同じですので、「tinba=tinma」です。小さい動きは
「チマ・チマ=tima tima」と表現されます。自分の子供を家の「チビ=tibi」という時には
まだ自分の息子が「小さい頃」の時に使う場合が多いです。成長した子供を「チビ」と
呼ぶのは自分の子供でも失礼な言葉でしょう。大人になっても一般の人より「かなり
低い人」を「チビ」と呼ぶのは「tibi」の音に含まれる意味からすると納得できます。
沈没した舟は動きません。一か所に長くいて「動きそうにない」状態を表す言葉に「tibi」
の音が含まれていてもおかしくないでしょう。名護方言では訪ねて来た友人が常識では
考えられないほど「長い時間」その家にいると「tibi=チビ」ヌ・ナガ・ハヌと言われます。
「tibi=チビ」の音を聞くと、滞在時間が「沈没した舟と同じほど、恐ろしいほど長い時間」
訪ねた家にいたと想像できます。沈没は水の中に沈む状態です。畑が水浸しになる
事は滅多にないですが、「tanbo=田んぼ」は出来るだけ「水浸しにする」のが良いのは
我田引水の言葉を見ても分ります。昔は釣竿は竹が良く使われたようです。釣竿はしなり
が良くて簡単には折れないのが良いでしょう。魚の力が強い時には釣竿の先が「水の中に
浸かる」場合がしばしば起ると考えられます。そう考えると「釣竿用の竹」に「tibu」の音
が含まれていてもおかしくありません。逆に「当然だ」と考えるべきでしょう。名護方言
では「釣竿用の竹」は「チンブク=tinbu-ku」と言います。「tibu」の音を強調したい時
には「n」を母音の間に挟む時がありますので「t,ebu=t,enbu→tinbu」の変化が推測でき
ます。前に「tiba=千葉」は「住み良い」所だと述べましたが、元々は田んぼ向きの、田
に「良い」「湿地帯」が多い所で、その結果、「住み良い」所になったのかもしれません。

 アッカド語では次の通りです。

 t,e’bu = 沈む、英語では sink