天つ風、 その2

    天つ風 雲のかよひ路
       吹きとぢよ
    をとめの姿 しばしとどめむ


 天つ風の歌は前にも取り上げました。今回は

言葉の観点からこの歌の意味を考えたいと思い

ます。 天つ風の歌は人間が風に「語り」かけて

います。 あたかも「風」が人間が喋る「言葉」

を理解できるように、風を「擬人化」した歌です。

どうして「amatu=天つ」を風の前に持って来て

風を擬人化したかは「言葉」を表すアッカド語

分ると疑問が氷解します。この表現だけでなくて

「qabe=壁」に耳有りと言われて壁も人間の言葉

が理解できるように思われている理由も分ります。

「amatta=甘った」れるなも口から飛び出す表現、

言葉である事が分ります。



  アッカド語のアルファベット表記は次の通りです。 


  アッカド語   日本語   英語

  amatu      言葉    word
   A 口から   spoken 
          出た言葉  word

          発言    utterance

   注: awatu の変化形


  awa'tu     言葉    word

  awa'ta qabu  話す    to speak



Akkadian Dictionary
by
Association Assyrophile de France



シカゴ大学アッカド語
アッシリア語)辞典
A part 2 の参照ページ
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