フネー: 船酔い、不妊 、腑抜けの関連用語

  私は小学生の頃に父が運転する乗用車で初めて那覇まで行った時には那覇に着く直前に吐いた
事があります。それまで何度もバスで那覇まで行った事がありましたが吐き戻した事は一度もあり
ませんでした。バスより乗り心地の良い乗用車で「船酔い」するのは不思議でした。その時に父が
言った言葉がイャン・「pune'=プネー」スンサ・ヤーでした。君も「huna=船」酔いするね、と言う
意味です。 舟に「弱い」人や車に「弱い」人が「フネー=hune'=pune'プネー」するのは極めて
適切な表現です。 子供の頃から今までどうして「車酔い」もプネー・スンと言うのかその理由が
分りませんでした。沖縄では当時は「車酔い」と言う言葉はあまり使われていなかったと思います。
どんな乗り物に乗っても「気分が悪くなる」のを「hune'=フネー」スンと言う理由がスメル語を知
ってその疑問が氷解しました。電車内や飛行機内で気分が悪くなり吐き気を感じた後で吐き戻すのを
「hune=pune」と言っても何らおかしく無い事が分ります。私の妹は母に似て乗り物に弱いです。
飛行機でも電車でも吐き気を催して吐き戻します。「hone=骨」抜きにされたら「弱く」なって
います。骨は名護方言では「puni=プニ」です。「舟」も同じ発音です。首里方言では「huni=
フニ」です。女性が妊娠しないのは体が「弱い」から、子孫を残す能力が「弱い」からだと昔の人
は考えていたと思われます。子供が出来ない状態を「hunin=不妊」と言います。生まれてから間も
ない頃はどんな動物も親の助けがないと育ちません。その頃の鳥は「hina=雛」と言います。災害に
「弱い」地域にいつまでも居れません。災害が来ると予想されると災害を避ける為に「hinan=避難」
します。昔のような絶対権力者は殆ど「hinan=非難」されなかったでしょう。その人を非難したら
自分が殺される恐れが出てくるからでしょう。権力が強大ならあまり非難されないのが想像できます。
「hunu」に繋がる「huna」行音や「hana」行音が「弱い」状態を表す言葉であるのが日本語を調べる
と良く分ります。「hunu=腑抜」け、はその原形が残っている言葉と見なして良いでしょう。

 スメル語では次の通りです。

  HUNU = 弱い、英語では weak