火と牛とカタツムリ

  川崎真治著の「日本語の語源」の「火と牛の啼き声」の部分を読んで頭にうかんだのは
お菓子とカタツムリの名護方言でした。お菓子の名護方言は「kwa’si‘=クヮーシー」です。
菓子の意味は「穀物や木の実」を「火で焼いて」出来た「結果=子供」の意味ではないでしょうか。
菓子の「子」は名護方言では「クヮーグヮー=kwa’gwa」です。同じ音が二回続くと後ろの音が「k」
から「g」に変るのは「木々=kigi」と同じ方法です。「火=クヮー=kwa」で焼いた、料理した「結果」
が「子=kwa'=gwa'」ではないでしょうか。即ち「kwa-si=菓子=果実などを焼いで出来た物=果物
の子=kwa'-gwa'」ではないでしょうか。「kuwa=桑」の実は熟れると「赤紫」になります。まるで「料理
した肉の色」です。桑の実の名護方言は「桑木生り=kuwa-gi-nari → kwa'-gi-ne’=クヮーギネー」
です。蛙の鳴き声は牛の鳴き声「モー」と似ていると言われますが、日本でも牛の啼き声を「ム」と
聞こえた人はたくさん居たようです。「カタツムリ」の「角」は「牛に似ている」と思っている人たち
はカタツムリを「蝸牛」と書きます。カタツムリの中に「牛」が入っています。カタツムリの中に「ム」
の音が入っているのは牛が「ム」と啼いていると思っている人が付けた名前だと推測されます。
「カタツ」の「カタ」が「角」だとすると「カタツ」は「角状の物を持っている状態」になります。
「ム=ムと啼く」「ムリ=ムヌ=物」です。「カタツムリ」は「ムと啼く動物に似た角状の物を持って
いる動物」になります。名護方言の「チンナンモー」は次のように解釈出来ます。三味線の音を「聞き」
音を調整するのを沖縄方言では「チンダミ」と言いますがその「チン」は「聴」です。「聴=tin=chin=
チン」、「何=nan=ナン」つまり「何と聞こえるか」が「聴何」で、その答えが「mo’=モー」と聞こえる、
と考えられます。 その動物は「何物か、それはモーと啼く牛に似て角がある動物」が「聴何モー=
チンナンモー=蝸牛」になります。沖縄ではお盆の最終日、送り火の日にはウチ「カビ=kabi」、
あの世でのお金と見なされる紙を「燃やし」ます。「kamado=釜戸」は「火を炊く」場所です。昔は
今のフランスのように世界中でカタツムリを火で焼いて、料理して食べていたのがカタツムリの名前
に残っているのかもしれません。ギリシャ語を見るとそのような気がします。火の使い方を覚えた
人間は「火」で焼いた後で「食い」ますので、「火」と「食う」の音が「近い音で表される」のは当然
かもしれません。「kwa=火」事にやられるのは火事に「kuwa=食わ」れると言い換えが出来ます。
食われるの沖縄方言は「kwa'=クヮー」リンです。火事の沖縄方言は「kwaji'=クヮジー」です。

  アッカド語ギリシャ語は次の通りです。

kanunu = 火のある所、アッカド語、英語では fire place

kaba’bu = 燃やす、アッカド語、英語では to burn

kaba’du = 燃やす、アッカド語、kababu と同じ

hama’tu = 燃やし尽くす、アッカド語、英語では burn up
h の下に波形の符号がありますので k に近い音です。

kaio = 燃やす、ギリシャ語、英語では burn

katanalo’no’ = 燃やす、ギリシャ語、英語では burn