出まかせ、口、裏、後ろ

 頭隠して尻隠さずと言う諺があります。嘘が見え見え、ハッキリ分る状態を表して
います。これと似た表現が「口から出まかせ」でしょう。それが正しいか何も考えない、
検討もしないで、ただ頭に浮かんだ事を言うのが口から出まかせでしょう。ほとんどの
場合は「デタラメ、嘘」に決まっているようです。 「嘘」が暴露したら嘘を付いた人は
「最低」の扱いを受けます。「入口」は厳重に取り締まっているのに「出口」を守るのを
疎かにしていると城の防御は難しいでしょう。「出口=裏口」です。「口=kuchi」には
「裏」の意味もあるようです。「裏口」入学や「口裏」を合わせるなど「悪い事、最低の
行動」を表す場合には「裏口」や「口裏」で表現されます。沖縄方言では仏壇の「後」に
ある部屋、「裏座」を「クチャー=kucha」と言います。 名護方言では後は「kusi=クシ」
ですが、首里方言では「kusa’=クサー」を使う人が多いようです。これから考えると
「kucha’=kusa’=kusi=後=裏」、即ち「kucha」行音は「後、裏」を表す言葉に含まれる
と考えられます。前の方は見えますが「後は見えない」ので「後には気を付ける」必要があり
ます。頭は前にあり「尻」は「後」にあります。「口=裏=後」ならば「口から出まかせ」は
「裏、後」の出口、すなわち「尻の穴、尻」には気を付けていない事を表しています。散らかり
放題の「犬の糞」の嫌らしさを思い浮かべます。ペチャクチャしゃべるのは「最低」の態度だと
思う人が多いようです。「最低=底」です。沖縄では粘々した黒っぽい土を「クチャ」と言います。
この土は栄養分に富んでいて植物を栽培するのに向いている良い土だと言われています。
元々は「川底」だった所の土が「クチャ」かもしれません。自分の事だけを考えて「後からやって
来る人たち」がどうなるかを全然考えない人の行動は「メチャクチャ=mecha kucha」と言われます。
人類の歴史はメチャクチャな事をして来た歴史かもしれません。

トルコ語では次の通りです。

kic = 後、尻、底
      英語では rear, backside, buttocks, hip, bottom