戦いに挑むか戦場から逃げるか

  挑戦の「挑=cho’」の訓読みは「挑む」です。その反対が逃亡の「逃=to’」で訓読みは
「逃げる」です。「兆=cho’」など「cha」行音の言葉が含まれている言葉は「二つに分れる、
離れる、枠からはみ出る」状態を表します。良い状態が現れるか、悪い状態が現れるか、
どちらにしろ、「ある状況が現れ始めた」ら「兆し」と言います。 逃亡では「cho’」の音が
「to’」の音に変化しているのが分ります。「唐」の都が「長安」なのもその音と関係があるの
かもしれません。漢字で「兆」の部首を含み「cho’」や「to’」などの音を含んだ言葉には
「現場から離れる、逃げる」や、「現状から離れる、新たな事へ跳び込む、新たな段階に入る」
などの意味があるようです。前者の言葉が「逃亡」で、後者の言葉が「挑戦や跳躍」です。この
「兆=cho’」の音は「ka」の音と結び付くとトルコ語の「kac」の即ち「kacha」行音と関係があり
そうです。「ka」の音の漢字を見ると「過分、過重、過払い」の「ka=過」と「追加、加勢」の
「ka=加」など「今までの枠を超えて増加する、越えた量」などの意味があります。「重い」の現在
の北京音「zhong」が入った言葉で「とても重い、重すぎる、過重な」を表す言葉は「chen zhong」(de
=ダ=的)です。「ちゃんと」「chan」行音の「chen」が入っています。前に「cha」行音は「中、中身」
など「周囲を囲まれた範囲の内部」の物を表すと述べた事があります。「血、乳」などは体の中に
あります。「中から外へ物が出る状態」が「kachi」と考えても合理的です。トルコ語では「kac=
get out of, got out of=現状からの離脱する行為、離脱した状態」です。日本語の「cha」行音や
「cha」行音の漢字には「逃亡による離脱」か「挑戦や跳躍、飛躍による現状からの遊離」を表す
言葉が含まれているのが分ります。「悪い現状から離脱したい、どうにか脱け出したい、脱出したい」
が「どうにもならない」、「中に居止まる事しか出来ない」状態の時があります。「どうにもならない、
どうしようもない、現状に甘んじる」状態を沖縄方言では「chan=チャン」ナランと言います。「時間」
の観点から考えると現在は既に起った出来事「過去の枠外」にあります。現在から過去を振り返って
過去の事を話す時の言葉、過去形に「chan=チャン」があっても不思議ではありません。名護方言
では過去形は「chan」で表します。「見た」は「見チャン」、「聞いた」は「聞チャン」、「言った」は
「言チャン」です。

トルコ語では次の通りです。 

kac = 逃げる、枠外に出る、英語では run away, get out of, got out of

kacan = kacと同じ、逃げた、枠外に出た、枠の上に出た(高跳びなど新記録
         を作った)