虫酸が走る

 とても気持が悪い、ゾッとするような精神状態を表す言葉に「虫酸=mu-sizu」が走るがあります。
トルコ語では「siz=〜ない、〜がない、否定」ですので、虫酸が走るの「sizu」は「良くない」状態
を表すのが分ります。無理の「無=mu」は「理屈に合わない」「理想に合わない」「良くない」など
「否定」を表しています。「musizu」は「とても良くない、とても悪い」状況を表しているのが分り
ます。海で舟が「sizu-mu=沈む」と大変です。命を失う可能性があります。虫酸が走るような人だと
思われたら「相手にされない」でしょう。無関心、無感動などの「無=mu」と虫酸が走るの「mu」は
別々の漢字を使っていますが、「mu」の音も「否定」の言葉や悪い状態を表す言葉ですので、「mu-sizu」
は「無・静」、即ち「無=mu=sizu=静=無静」と考えた方が良さそうです。「砂漠の中に一人だけ取り
残されて音も無いとても静かな状態」を思い浮かべると「無静=musizu」が走るのではないでしょうか。
臨時労働者が増えている今の時代は「異常な」時代と言えるでしょう。生活の「基礎=isizi」は「仕事
があり、収入がある」事ですので、「仕事がない=失業している」状態はかなり「苦しい」生活を強い
られます。「suzu=スズ」クサという名前がついている草は「小さい」だけでなく、「くさい、悪い」
においがする草です。トルコ語では語頭や「語尾に」「siz」の音が入ると「悪い」意味が含まれるのを
知っていると「虫酸」が走るもトルコ語の「siz」と同じ語源からできた言葉と見なす方が妥当と考えられ
ます。トルコ語の「siz」や「suz」は英語の「un-, in-, im, ir-, il-, dis, di-, de-, -less, low, out of, off」などの
意味を含むのが分ります。

 トルコ語では次の通りです。

ilgisizlik = 無関心、無感動、英語では indifference, apathy

nesesiz = 抑圧された、悪い気分、憂鬱な
          英語では depressed, low-spirited, dispirited, gloomy, grim

issiz = 失業する(生活に苦労する悪い状態)、暇、ぶらぶらしている
          英語では jobless, out of work, idle
注: 最初の s の下にはシャ行音を表す長い s の形の符号が付いています。

 issiz = 砂漠、水が無くて住み難い所、人の住まない所、不毛の所、英語では desert

temelsiz = 基礎がない、地面に足がついていない、基礎が固められていない、
           保障されていない、野生の
          英語では baseless, unground, unfounded, unwarranted, wild